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                   Vol.082 
発行日:2002年07月05日 

 今週は、アマゾンに在住経験のある米国在日系人の方からの投書をご紹介します。

                                     『アマゾンは米国領?! アマゾン略奪説はいい妄想 ?! 悪い妄想 ?!』 

6月23日付ニューヨークタイムズ紙に、次のように始まる記事が載せられた。

「ブラジル人は生まれた時から『アマゾンはブラジルのもの』であると教え込まれており、世界一規模を誇る熱帯雨林を羨む外国、特に米国が、統治力に欠く伯政府からアマゾンの略奪を企んでいるという『被害妄想』に陥っている」

このような記事が米国大衆紙に載せられた背景には、昨年末よりインターネットを通して出回ったアマゾン略奪説を助長するデマ情報が関係している。その情報とは、「米国の中学校で使われる教科書には、米国はアマゾンを所有する『知性に欠き、野蛮な』南米8国からアマゾンを略奪する使命を課せられていると書いてある」という内容の文章とアマゾンが米国領であることを示した地図だ。ところが、英語で書かれたこの文章には英語を母国語としない者により書かれたことを示唆する文法的誤りが目立ち、またこの情報が真実であると信じたメディアが新聞、ラジオ、テレビ番組で取り上げたため、ブラジルではアマゾン所有権略奪説が広がりつつあるという解釈につながったのであろう。しかし、終わりまでブラジルの被害者意識を責め立て、「言いがかり」により非難を被っている米国を擁護するこの記事は、公平性に欠くように思えてならない。

例えば、外国が関与した最近のアマゾン環境問題の実例をいくつか挙げてみるとしよう。アマゾンに生息するパウ・ロサという木は希少化が進むが、この木特有の抽出物は、香水の定番として知られるフランス、シャネル社「シャネルNo.5」の主原料である。ところが、小さな瓶入りの高価な香水は、ブラジルにとって何らかの利益をもたらさず、伯環境庁長官はアマゾン自然資源に対する搾取行為であると述べた。シャネル社に対するボイコット運動も下火ながら起こっている。ルーズベルト原住民地区で不法採掘されたダイアモンドは、国際密売組織の手に渡り、国際市場での正式な売買許可を得るためにニューヨークへ密輸されていた。マナウスでは、希少価値のあるアマゾンの昆虫類を外国で高額に売りさばくために生物密輸行為を働いたスイス人が捕まった。また、欧米の製薬会社がアマゾン原住民の薬草処方の知的所有権を獲得し、現地住民に何らかの利益を与えることなく原住民伝統知識を商業化し、巨額な利益を得ている。

これらのケースに、ブラジル人の関与があったことは否定しない。しかしながら、新自由主義経済社会を導く先進国の人間には、「社会責任」という観念を持たず個人利益の追求を目的にアマゾンを資本化する者がいることを証明する。外国人による搾取の例が跡を絶たない限り、ブラジルが危惧の念を抱くのは当然であろう。搾取の歴史がブラジルの対外感情を高ぶらせる温床を作り上げたことに対し、タイムズ紙に載せられた記事は全く無関心である。この記事が公平性に書く理由は、ブラジルの「被害妄想」をあたかも山火事のような自然発生災害としてとらえた一方的解釈にある。

「被害妄想」という言葉は通常、否定的に用いられる。しかし、視点を変えると、アマゾン略奪説にはプラス効果もある。というのは、被害妄想を持つということは危惧意識の現れであり、ブラジルが被害者という意識を自覚することで、搾取の歴史に歯止めをかけようとする反発力が生まれるからである。伯大統領が数ヶ月前、途上国の経済発展を促進するはずであるIMF(国際通貨基金)の不能を公の場で(しかもアドリブで)非難したが、この堂々たる発言は先進国に対する反発を象徴していた。ブラジルは国際社会においてしばしば途上国のオピニオンリーダー(世論主導者)として扱われ、南北問題において先進国に対し公平性を求めるという大変重要な役割を担っている。こうしてアマゾン略奪説が(その真相は別として)途上国を団結に導き、南北関係を改善する原動力になるのであれば・・・そう考えると、この「妄想」はそう悪いものではない。

 

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