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                   Vol.105 
発行日:2003年12月03日 
今週のニュースは...

1 『フクチャンのアマゾンニュース解説』第3
2「浩さんのアマゾンスケッチ」第5段【ベレン近郊日系農家訪問記】
3ベレン日記

【1】『フクチャンのアマゾンニュース解説』第3

  前回のニュースで、木材業者と環境NGOグリーンピース・環境政策当局との紛争の報告があったがこれらの問題の論点について、政策面がわかっていないと、問題の本質がずれてしまうことがある。

 
 とくに、アマゾンの場合、木材業者による違法伐採がクローズアップされるが、そもそも違法伐採とは何か?現地で活動する人間でもきちんと理解出来ている人はあまりいないように感じられる。違法伐採というからには、何をして違法としているのか、それを規定する法律・政策がわからなければならない。とりわけ問題なのは、この法律や政策をまったく理解せずに、「違法」「違法」と叫びたてることで、問題をより複雑にすることである。

 
 おそらく多くの人は、「合法=持続的な森林利用」「違法=収奪的、非持続的な森林利用」として、使っていると思われる、合法であっても持続的とは限らないし、違法であっても持続的なことはある。たとえば、経済政策を重視した政府のもとでは、合法的に天然林の皆伐や開発が行われることが多々あるし、政府によって一方的に利用が規制された生態系保全地域などでは、伝統的な住民が違法に樹脂や油、木の実といった木材でない生産物を持続的に利用している例も多い。

 
 アマゾンでは、非常に厳しい環境規制を定めた法律が存在するため、そこで違法の烙印を押された木材伐採を行う業者は、環境破壊的という理由で、多くの人々が「違法伐採=悪」としているのであろう。環境犯罪に関する法律も整備され、このような違法伐採行為などは、犯罪として認識される。しかし、違法と呼ばれる原因の多くは書類の不備などであることも多い、つまり、環境的に良いか悪いかというより判断のみならず、手続き上の問題もきわめて多い。ブラジルの官僚制や行政手続きの猥雑さは有名な話である。しかも当局のストライキによる機能停止など、行政の財政面を含めた能力不足が存在する。そこには行政側の不備の場合すら多いのである。もちろん、虚偽の計画に基づき、略奪的な伐採を行う業者もいるだろうが、それが全てではない。

  つまり、多くの人々が違法伐採業者としてイメージしているような略奪的、環境破壊的な業者が全てではない。それゆえ、多くの違法とよばれる業者は、「悪いことをしている」という意識はあまりない。それよりは、「これまでずっとつづけてきた仕事をしているのに、何故、突然、犯罪者にさせられるんだ」という思いのほうが強い。かつて80年代までは、政府が主導で開発を進めてきた。木材業者は、アマゾンにおける木材の有効利用とアマゾンの発展のために精力を尽くしてきた人々である。それが、大量な書類を提出する能力がなければ、また、環境当局の猥雑な行政手続きに歩調を合わせられなければ犯罪なのである。現地の人々から見たら、そういった実情を知らない外国から来た環境NGOによって、突然、十把一絡げにほとんどの木材業者が「犯罪者」に仕立て上げられたのである。

 
 アマゾン森林の破壊の歴史の中でもっともインパクトが大きかったものは、大規模道路開発、牧場開発、大豆栽培、入植であるだろう、破壊の理由として商業伐採が取り上げられるが森林に大きなダメージを与える商業伐採は、これらの活動と直接結びついた活動であることが多い。木材業界は森林破壊者としてのイメージがもっとも作りやすく、生産物の現物が道路や河川を移動するのでもっとも監視しやすいがために、常にアマゾン森林破壊のスケープゴートにされてきた。政府と一緒になって何も自分の手を汚さずに広大な森林を破壊し、暴利をむさぼった人々は、何のお咎めもないのに、天然林からの伐採とはいえ、地道に木質資源を利用してきた人々が犯罪者にされ、廃業に追い込まれるのである。このような人々は失業者として、木材の有効利用をしないまま伐採・火いれをしてより森林に深刻なダメージを与える要因になるかもしれない。今年の過去最悪レベルの森林消失の現状から木材業界が廃れたのみで森林破壊の本質が変っていない一面が、垣間見える。

  さて、現行のブラジルの森林法で最も特徴的で重要なものがある。それは、法定保留林「フォレストリザーブ」における森林管理計画制度である。森林をリザーブしなければならない地域、森林の被覆を残しておかなければならない地域指定である。これが特徴的で重要なのは、私有地に設定されるということである。それがアマゾンでは80%に設定される。所有地の80%が法定保留林として利用方法を政府によって規制されるのである。土地の所有権が保障されているとは言いがたい。所有権とは、自由に利用でき、利益を得て、処分が可能な権利である。法律上、経済的な利用は可能とあるが、それには管理計画の許可を当局から受けなければならない。自由な利用にはほど遠い。また、この法定保留林の持続的な経営方法が多くの住民にとって利用可能な状況ではない現状を考えると、この法律の実効性に大きな疑問が残る。

 
 ブラジルは私的財産を保障した市場メカニズムを適用した民主国家である。それなのにアマゾン地域の多くでは80%の土地を許可なしで自由に利用できないというのである。何故だろうという疑問が土地所有者には生じる。これには訳がある、アマゾン地域は1988年の新憲法によって国民的財産であるためにその所有権に規制がかかるという旨がきちんと示されている。つまり、アマゾン全体、憲法によって指定された保護地域である。しかし、これまでの経緯で考えてみると、1980年代までは、自由に利用でき、むしろ政府は開発を奨励してきた。それが突然、地域住民との同意や交渉もなく、広大な地域を保護地域に指定したとも読み取れる。今でこそ、近年の法改正によってこの80%の指定は、前回、説明したような地域性に基づき、環境経済ゾーニングの有無によってこの割合が変更できる地域も作られたが、法改正前までは、法定アマゾン地域全体が一律80%の法定保留林という制度であった。

  では、違法伐採とはどういうことであろうか、何をもってして環境犯罪とするのであるか。それはこの法定保留林の管理計画なし、もしくは計画書類の不備、虚偽などで、木材や林産物を採取し、輸送することである。しかし、意外と一般の人々の、注意を引いていないことであるが、法定保留林の設定のためにはそれ以前に森林地の正式な所有権の確定が最重要となる。森林経営が環境的に持続的かどうか以前に、ほとんどのプロジェクトがここでつまづく。国立地理統計院のデータを元にしたIMAZONの報告によるとアマゾンでは40%以上の土地が紛争や様々な手続き上の土地であったり、無主物公有地、占有地などで地権の設定が明確になっていない。ある報告ではアマゾンには一つの土地に平均して2つの地権が設定されているという。このような現状の中、法定保留林の設定に基づく持続可能な森林利用計画の策定が困難になり、業者が合法的な木材を調達できない事態となる。

  つまり、アマゾンの違法伐採問題とは、土地問題と直結している。土地確定が明確にならない以上、土地確定を絶対的な条件とする森林管理制度はなりたたない。土地確定を明確にするか、土地の絶対的な確定がなくとも森林管理計画が策定可能にならない限り、違法伐採問題およびこのような紛争はなくならない。40%以上の土地の所有権があいまいな土地としたが、これには一つの仮説が考えられる。森林地はそもそも歴史的に誰も所有していない土地であった。それが開拓していくことによって所有権が明確に設定されてきた。大土地所有者の所有権の確定という目的が牧場開発の大きな誘引だったという説明もある。つまり、現実には、広大なアマゾンで登記のみでは不十分で、その所有権を示すには伐採して利用しているという現状を示すことが重要だった。反対に考えれば、木材も含め林産物を採取する土地は森林であり、つまり所有権が確定されていない土地である。森林が「貧者の外套」として、貧者を守ってきた。それなのに林産物を採取するには土地の確定を条件とした森林管理計画が必要となる。現在の法制度では、採取保留地域プロジェクト等政府系の事業にアクセスできていないで業者が、林産物を必要とした場合、規模にもよるが原則として採取、伐採のための土地を購入、さらに測量を行い、土地登記の手続き等を行う必要がある。

  さきほど、森林地は誰の所有でもない土地と説明したが、現実には異なる。古い植民地時代から開拓時代にかけて、大雑把に線引きされて境界が画定されていないまま土地の権利のみが分配されほとんど放棄されたような土地もある。また、さらにそこには河川沿岸住民やゴム採取人の子孫、カボクロと呼ばれる混血の人々が暮らしている。このようにあいまいな地権の上に重層的に利用されてきた土地である。さらにそういった土地に道路が走った場合、入植農民が入って占有権が生じる。また、過去に登記を偽って書類がつくりあげられた土地も多い。林産物を利用するためにはこれらの難解かつ複雑な土地問題を乗り越えることが絶対条件となる。この絶対条件を乗り越えられない木材採取業者は、違法業者の烙印を押される。

 
 このたびの事件ももとはといえば、木材業者の森林計画が立地する場所の土地書類に関しての審査がきっかけである。そしてグリーンピースなどは、これらの土地の権利を伝統的住民へ返却し、伝統的住民による採取地域の指定を目指しているのである。政府が採取保留地域を指定することによって森林を所有しなくても、誰もが適正で社会的に公正な手続きにおける計画のもと林産物を利用できる方法があるのなら、木材業者にとっても良いはずである。しかし、現実には、木材業者はこのプロセスから排除されていたというのが現実らしい。政府による地域住民のための林産物の採取地域設定というのは新しい制度の一つであり、近年急速に進められているが、木材伐採業者が視野に入れられていないことも多い。アマゾンで利用が最も多く、社会的にも経済的にも最もインパクトが大きいはずの重要な林産物の利用者、木材業者が抜け落ちているのである。

  木材業者達は、適正な森林管理計画を策定するために、常にこの森林の土地所有面と森林計画の問題点の解決策を環境当局、土地局に求めてきたが、それは何の進展もなかった。そのような点を無視して、グリーンピースと環境当局が土地が虚偽であるといって、彼らの森林計画を取り締まり、木材の生産が一切出来ないように動き、採取保留地域への指定を目指したのである。その結果、木材業者にとっては突然外部から来たグリーンピースがで木材を生産する権利を取り上げ、彼ら主導での採取プロジェクトに利用されると見えたのだろう。

  確かに木材業者の活動は法制度の文面をそのまま受け取って現状や歴史的な状況を無視すれば、違法であり、許されないことである。しかし、違法伐採の問題の根幹には、あいまいな土地権利の上にある多様な利害関係をもった人々の重層的な利用の現実がある。そこでの管理計画が、どのようなプロセスで作成され、どのように承認されるのか、土地確定作業のプロセス、そこにおける行政府の対応、地域住民の参加等々が本当に公正なものかどうかを検討しなければならない。環境によいか、略奪的かということは、違法かどうかだけでは判断できない問題である。

 
 多くの政府やNGO主導の採取保留地域プロジェクトは、計画策定、土地の確定などが、外部からの費用負担でまかなわれ、技術援助が行われ、ときには工場建設、インフラ整備までそういった外部の費用でなどでまかなわれて進められるが、このような政府・NGOのネットワークから漏れてしまいがちな、地域の木材業者は、この費用負担全てがも業者にかかるのである。

 
 また、環境経済ゾーニングの制度が導入され、法定保留林面積の割合、その他の規定もゾーニングによってある程度変更が可能になった。このゾーニングがどのように実行されるか、このゾーニングの環境的持続性の側面に加え、住民参加の過程等に見られる社会的なプロセスがどうなっているのかがきわめて重要な問題である。今回の木材業界のグリーンピースや環境当局であるIBAMAへのデモ行動がここまで大きなものとなった背景には、こうした点がこれまで軽視されてきたことが理由ではないであろうか。真に持続的な森林利用というものは経済的に実施可能で、社会的にも公正なプロセスによって進められなければならないはずである。
【2】「浩さんのアマゾンスケッチ」第5段

【ベレン近郊日系農家訪問記】

 10月下旬、妹が23年振りにブラジルK県人会創立90周年記念式典ブラジル友好親善使節団に加わり来伯したのを期に、兄姉宅を訪問の傍らベレン近郊で活躍されている農家を訪問する機会にも恵まれた。

  ここ、10数年訪れていなかったので見るもの聞くもの全て珍しかったし、10数年前とは随分様変わりしていることを感じた。栽培している作物もそうだが、栽培の方法が進歩している。ピメンタ・ド・レイノの苗の作り方など、私が知っている方法は結果枝(果樹で花芽をつけそれに果実のなる枝)を3.4節のながさに切って、耕した地面に直接伏せて発芽させる方法だったが、いまは1節に1枚葉っぱを付け籾殻を焼いて表土を作り、しかも床を高くした苗床で発芽させ小さなビニールの袋に移植して根を出させる方法がとられている。

 日除けも昔は椰子の葉っぱだったが、いまでは黒いビニール製で日光を何%当てるとか、発芽の状況で管理されるらしい。これこそ胡椒に変わる安定した永年作物だとして注目されたデンデー椰子が切り倒されて胡椒園に切り替わりつつある。また、日系人集落周辺に植林が目立つのも時の流れを感じさせる。

ベレン近郊日系農家の作物栽培の流れは、一人一人異なるだろうが胡椒、デンデー椰子,コッコ、バナナ、ハワイマモン、メロン、アサイ、ランプータン、マンゴスチン、ドリアン、クプアス、アセローナ、マラクジャー挙げればきりがないが、養鶏でも肉鳥、卵と専門が分かれる。特に目にとまったのは花や観賞植物の栽培であった。植林にしてもモギノ・アフリカーノ、モギノ・ナショナル、ニム、パリカ、スマウーマ、イペー、テッカ(学名Tectona Grandis,別名;チーク、分類;熱帯広葉樹、科;クマツツラ科)などで、テッカはあちこちに見受けられる。チークは世界の最良材とされ、「アジアの材木の王様」とさえたたえられているらしい。一度乾燥すると、決して狂いを生じないと言われるほど材質が安定している木材で、酸化・腐蝕しにくく、酸や海水にも強いため、古くから船の甲板用材に用いられている。豪華客船クイーンエリザベス二世号のブリッジや内装で有名な材木であるとある本に書かれていた。

それにしても、「・・・・の森-」と森の字がつく耕地が多いのは時代を読んで投資されたからだろうか。最近の邦字紙によると赤字経営で苦しんでいる「森」もでてきたとの記事も見受けられる。どの作物を主体にして生活設計を立てるかはそれぞれ異なるようだが、選択の差が個人差になっているように感じた。

【3】[ベレン日記]

フェイラと呼ばれる市場などに行くと、たくさんの食材たちと出会う。しかし、そこで目にするものは、日本でキレイに切られて包装されてスーパーに並べられている品元とは全く違う。鶏がその場で毛をはがされ、殺されている。肉や魚の固まりが、無造作にたくさん置かれている。そして、そこからすごい匂いを放っている。そんな光景を見ていると食べる意欲がなくなる。私が日々日本で食べている物と同じ物なのに、なぜか別物のような感覚にとらわれる。私がいつも食べている物は元々こういうもので、それを知らなかっただけなのだ。きっと、誰もが動物を食べるということを一度は考えると思う。日々私たちは生き物を食べていて、その事実を知っているようで知っていない。むしろ感じないようにしているのかもしれない。食べるという行為が悪いわけではない。しかし、人間だけはどうもフェアじゃないように思う。人間だけが、とてつもなくみんなから遠くに離れてしまったように思う。                                                 12月2日清井智子

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